鬼のブラック会社だった

鬼のブラック会社だった

こうして偶々、目の前にメシアが現れ、すがっていくことになった。

 

新たに働くことになった会社の規模は、全社員5名程度。友人の会社と言ったが、友人が社長ではない。友人も従業員の1人。会社の場所は茅場町。

 

肝心の事業内容は営業代行。厳密に言うと、テレアポ代行。

 

新規営業に問題を抱える企業に代行して、ニーズのある顧客とのアポを取り付けるのだ。このアポは1件あたり2万円ほどで売買された。

 

この事業内容自体もきつかったが、それよりも大変だったのはこの会社の企業風土。

 

またもや俺は企業風土にやられてしまった。社会不適合者なのかもしれない。

 

まずこの会社の出社時刻は7時。業務終了は終電、つまり24時過ぎ。

 

家にはただ寝るためだけに帰るようなもの。7時から9時は毎日テレアポリストづくり。9時になると同時に一斉に電話スタートし、そこから19時まで昼の1時間をのぞいて永遠とテレアポ。

 

19時以降は電話が繋がりにくくなるので、架電は終了。その日取れたアポの詳細情報をシートに記入し、クライアントに送信。そしてまた翌日のためのリスト作り。

 

1日に400件ほどテレアポするので、いくらあってもリストが足らない。

 

ちなみにリストは外部から購入すると精度が悪いということで、すべて社員が手作り。今思おうと本当は資金がないから、経費削減のために外注していなかったもかも知れない。

 

肉体的にもきつかったのが、これを超えるのが精神的なきつさ。

 

まだまだベンチャー企業ということで外部コンサル会社からコンサルタントを入れ、事業の拡大スピードアップを計っていたのだが、このコンサルタントがくそすぎた。

 

業務中の暴言や殴る蹴るは当たり前、休日(いちおう土日は休みだった)でもいきなり電話が来て『いまどこにいる?早く濃い。打ち合わせするぞ』と詰め寄ってくる。

 

行ったら行ったで激詰め。売上目標達成していないのになぜ休んでいるのか。

 

殴られ蹴られ、改善策を出すように求められる。

 

改善策を出しても、いちゃもんを付け罵倒を皆の前で浴びさせられる。もちろん他の皆も罵倒を浴びさせられる。

 

コンサルタントが提示してきた改善策などは、皆で大きな声で読み上げる。

 

少しでも嫌な顔やつらそうな顔をすると、『なにか不満あるんか?』といってまた詰め寄ってくる。『ありません。』と答えると『じゃあ全て理解してるんだな。説明してみーや』と言い、さきほど見せられたばかりの改善策を完璧に説明するように求められる。

 

大枠があっていただけではダメで、口頭で言った細かい内容やニュアンスまで完全一致していないと『わかってないやんけ!』と、胸ぐらを捕まられる。

 

このような毎日が1年半ほど続き、最初はできない俺が悪いと言い聞かせていたものの、徐々にその忍耐力も切れ、再び現実逃避したくなるような思いが強くなっていく。

 

当時の俺は、いかに業績を達成するか。

 

ではなく、いかに怒られないか。安全に今日を過ごすか。

 

という軸で毎日、その日を生きていた。

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